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カテゴリー: 仏事の豆知識

年賀欠礼状は11月中に

年賀欠礼状は11月中に

 年賀欠礼状は喪中はがきともいいますが、本来は「新年の喜びを伝えることができず、失礼致します」という意味で送るものです。12月初旬には年賀状を書き始める人も少なくないので、喪中であることを知らせる「年賀欠礼状」は、なるべく11月下旬までに届くように送りましょう。

 服喪の範囲は一般的に両親、配偶者、子供、兄弟姉妹、祖父母、孫の二親等までと言われています。喪中の人へ年賀状を送ることは、マナー違反ではないのですが、控える風潮があります。もし喪中と知らずに年賀状を送ってしまった場合、お悔やみの言葉を添えてお詫びのはがきを送りましょう。また、喪中に年賀状をもらった場合、松の内(1月7日、地域によっては1月15日)が明けてから寒中見舞いとして、新年の挨拶ができなかったお詫びとともに服喪中であることを伝えると良いでしょう。

ふくさ

ふくさ

昔からお金や品物を贈る時には、包んで渡すことがマナーとされています。

祝儀袋や香典を包む小さい布や風呂敷を「ふくさ」といいます。ふくさに包むと、袋の角が折れることや、汚れを防ぐことがきます。さらに包むことで先方の心中を重んじ、喜びや悲しみを共にする心を表すという意味合いもあります。

ふくさは心も一緒に包む、日本ならではの奥ゆかしい作法といえます。

二つ折りで袋を挟む略式タイプの「挟みふくさ(金封ふくさ)」や、きれいに包める「爪付ふくさ」、ふくさをのせる敷台がついた「台付ふくさ」などがあります。色や包み方は、慶弔で使い分け、祝儀には赤や金色などの明るくおめでたい色のふくさを使います。不祝儀には黒やグレーなどのシックで落ち着いた色みのものを。紫は両方に使用出来るので重宝します。

針供養

針供養

針供養とは、その名の通り、縫い針を供養する日本古来の行事です。
裁縫針が広く用いられるようになったのは、室町時代のころといわれており、裁縫は女性にとっても大切な家仕事のひとつでした。
毎日のように使った針に感謝し、やわらかい物に刺して休ませてあげようとの願いから、折れてしまった針、錆びた針、曲がった古い針などを豆腐やこんちゃく、餅などに刺して供養します。

針供養は、関東地方では2月8日、関西地方では12月8日に行うのが一般ですが、地域によって違います。
この日は「事八日(ことようか)」といい、魔物が家の様子を伺っているので身を慎む日とされており、女性たちは針仕事も休んでいたそうです。
日常的に裁縫をする人は昔に比べて減ったといわれていますが、現在でも裁縫の専門学校や服飾のプロの間では一年間使用した針に感謝し、裁縫の上達を願う欠かせない恒例行事となっているようです。
各地の寺院神社でも針供養の行事が行われています。

作務衣(さむえ)

作務衣(さむえ)

父の日の贈り物としても人気のある作務衣は、もともと禅宗の修行僧が作務(作業や仕事)をするときに着る作業着です。
禅宗というと、座禅を思い浮かべる方が多いですね。
臨済宗や曹洞宗などの禅宗では、作務も修行の一つととらえます。
食事のための野菜を作る農作業や料理、境内の掃除、草取りなど、日常の生活すべてが修行に結びついています。
これは、ひとつひとつの行いを決しておろそかにせず、作務を通して仏の教えを実践しなさいというものです。
その精神は所作(しょさ)にもおよび、脱いだ靴は必ずそろえたり、食事の作法も一口食べたら必ず御箸を置いて、「いただく」ということに気持ちを集中します。

私たちには、修行僧と同じことはできませんが、例えば、お部屋の整理整頓やお掃除を行き届かせることで、心落ち着く時間を過ごすなど、生活に取り入れるヒントはたくさんありますね。

精霊馬(しょうりょううま)

精霊馬(しょうりょううま)

お盆には、ご先祖様の霊をもてなすために、盆棚をしつらえることが一般的です。盆棚は精霊棚(しょうりょうだな)ともいい、座敷や縁側に打敷やマコモを敷き、四方にたてた青竹に縄を張って結界をつくり、その中に位牌、水の子(細かく切った野菜と洗い米を混ぜたもの)、果物、野菜、花、団子などを供えます。

近年では、簡略化され、仏壇などに慎ましくしつらえる家庭が多いようです。その中でも用意したいのが、「精霊馬」です。
ご先祖様が無事にあちらとこちらの世界を往復するための乗り物で、きゅうりやなすに割り箸を差して4本脚をつくり、馬と牛に見立てています。
きゅうりは足の速い馬で、ご先祖様があちらの世界から少しでも早く家へ帰ってこられるように、なすは歩みが遅い牛で、家からあちらの世界までのんびりと帰れるように、また重い供物を楽に持ち帰ってもらうためにとの願いが込められています。

お盆はご先祖様を迎えて供養する大切なひとときです。正式なものでなくても、簡単な盆棚をつくってもてなしましょう。

※盆棚は宗教、宗派、地域により作り方がことなり、浄土真宗では盆棚をつくりません。

野辺送り

野辺送り

葬儀の参加者たちが葬列を組み、ご遺体を火葬場や埋葬地まで送ることを「野辺送り」(のべおくり)といいます。「野辺」とは、火葬場や埋葬場所を意味する言葉で「野送り」や「野辺の送り」と呼ぶ地域もあります。

現在では葬送の形式も変わり、昔ながらの野辺送りは、ほとんど見られなくなりました。

野辺送りには、ご遺体を送るだけではなく、死者の霊魂が無事に成仏できるよう、仏さまの加護を強く念じるという意味合いも含まれていました。

列をなす際には、魔を祓い夜道を照らす松明や提灯を持つ者が先頭にたちました。僧侶、位牌を持つ喪主、供物を持つ親族や棺を担ぐ人、後ろから近所の人々が続きました。帰り道は、こちらの世界に故人が戻らぬよう、違う道を通ることもありました。

野辺送りの儀礼は様々で、時代や地域、宗派により風習に違いがあります。

冠婚葬祭

冠婚葬祭

冠婚葬祭とは、人が生まれてから死ぬまでに行う「儀礼」の総称で、4つに分かれています。

「冠」は、「かんむり」を表しており、今でいう成人式に当たる「元服(げんぷく)」に由来しています。昔の公家や武家社会では、男子が成人すると髪を切って冠や烏帽子(えぼし)を被り、一人前である証としていました。このことから、現在では出産や七五三、入学、卒業、成人式、長寿の祝いなど、人が成長する節目であるおめでたい通貨儀礼を「冠」としています。

「婚」は結婚にまつわる儀式やしきたり。

「葬」は亡くなった人を悼み、弔う儀式やしきたり。

「祭」は先祖供養を指しています。また、「祭」は本来「祭祀(さいし)」で、先祖の霊を祀る行事や供養全般を意味していましたが、日本の四季を彩る祭りや年中行事としての意味合いも濃くなってきているようです。

冠婚葬祭には、それぞれに大切な意味やしきたりがあります。後世にきちんと伝えていきたいものです。

終活(しゅうかつ)

終活(しゅうかつ)

終活とは、「人生の終わりを迎えるために行う活動」の略語で、就活や婚活などから派生した造語です。ユーキャン新語流行語大賞60語にノミネートされるほど、広く知られるようになりました。

自分が理想とするかたちで人生を締めくくりたいと考え、病気になったときや介護、亡くなったあとの葬儀やお墓、財産などの希望をエンディングノートに記すことが一般的なようです。書き残すだけではなく、実際に葬儀社に事前相談したり、霊園を見て回り、お墓を建てられる人もいます。お墓を生前に建てることは寿陵(じゅりょう)といい、古くから縁起が良いとされています。

終活は、マイナスな気持ちで行うのではなく、残された人生を豊かに過ごすためにも大切なことだと考えられています。伝えられるうちに自分の考えや希望を、ご家族などとお話しされておくことは大事なことなのです。

死装束(しにしょうぞく)

死装束(しにしょうぞく)

「死装束」は、あの世へ旅立つために着る、最後の衣装です。宗派や地域によって多少異なることがありますが、古くから仏教では「死出の巡礼・旅路」ということで、白い経帷子(きょうからびら)、白足袋、わらじ、手甲、脚絆、数珠、杖、笠、三途の川を無事に渡れるように六文銭を入れた頭陀袋というスタイルが一般的でした。

最近では新しい浴衣や、生前故人が愛用していた洋服や着物を着せる場合もあります。その際には、経帷子などを遺体の上から被せたりします。現在の死装束は原則として、燃えないもの、燃やしてはいけないものでなければ特に決まりは無いようです。生前、ご自分で死装束を一針一針縫って準備しておく人や、生前に着せて欲しい洋服を決めておく人も増えているそうです。洋服を最後の衣装にする場合は、不燃素材のボタンなどがないか確認しておきましょう。

※浄土真宗では死装束は着用しません。

破魔矢

破魔矢

破魔矢は、お正月飾りの縁起物としてお寺や神社で授かります。もともとは、弓と矢の一式でしたが、時代とともに簡略化されて、現在は矢のみが主流になっているようです。破魔矢の効力は一年とされており、新年に参拝するときに、前年に授かったものをお寺や神社でお焚きあげしてもらい、新しい破魔矢を授かります。

その昔、武家の風習で、男児が生まれると成長を祈願するために、模擬の弓矢を贈ったといわれています。それが、時代とともに庶民にも広がっていき、江戸時代には、男の子の玩具として金箔、蒔絵などを装飾した華美な弓矢もありました。

破魔矢のルーツは諸説ありますが、正月の行事である弓の技を試す「射礼」(じゃらい)に使われた弓矢とされています。射礼に用いられた的のことを「はま」といい、これを射る矢を「はま矢(浜矢)」、弓を「はま弓(浜弓)」と呼んでいました。それがいつの頃からか、「はま」が魔を破るという「破魔」という当て字で呼ぶようになり、魔除け・お守りの意味をもつようになったと考えられています。


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